30代男性_仕事ですぐに結果を求められています。時間をかけて丁寧にやりたいのですがどうやら時代はそれを許してくれないんですね
平成令和と、もしかしてキミも置き去りにしてきたもの。
Q
30代男性_仕事ですぐに結果を求められています。
時間をかけて丁寧にやりたいのですが
どうやら時代はそれを許してくれないんですね
ZAKI
とある日に、とある町の喫茶店に入った
ドアを開けた途端、
僕の身体は時空の壁をまるで地表にしがみつく陽炎が
天に吸い込まれるように舞い上がり、
僕を「僕のあの日」に連れ戻した
無造作に伸びた雑草に絡まれた
朽ちかけた外壁
長い歳月を如実に物語る古いドア
店内に漂う挽きたての珈琲と
深いほどに懐かしく古ぼけた香り
所々ほころびた青い天鵞絨のソファには
微かな光が窓から挿し込んでいた
時代と共に消えてしまったあの日が
鮮明に僕の前に現れた
『もう43年も経ってしまいましたよ』
そう言い微笑む老いたママは、どこか寝たきりの母に似ていた
[ ほら!あの昭和がまだここにあるんだぞ!]
昭和の時代を知ろうともせずに
カタカナ英語で西洋紛いに振る舞う若者たちと、
もう古い話しさと照れ隠しなのか笑い飛ばす大人たちに、
僕は大声でそう威張りたくなった
「でもね、私一人でまかなえるぐらいしかお客さんこないのよ。
でもそれが歳とった私にはかえって都合が良くてね。
いつまでやってられるか分からないけどね」
そう言い、カウンターの奥へと戻っていった彼女の
小さな背中を目で追いながら、はっきり分かったことがある
彼女らが丁寧に積み重ねてきたあの古くも良き昭和の時代を、
僕らは「便利」という妖怪に操られ
地の果てまで風化させてしまったのではないだろうかと。
これを罪と呼ばずに何と呼ぶのだろう
便利を追い求める令和の時代
それは時間というコストを悪とみなす時代だ
便利の代償はどういう形でいずれの僕らに襲いかかってくるのだろうか
あなたが憂いでいる事は
まさにこの時代の課題であり
僕らが解決の糸口を見つけて
あなたのような若者たちにその糸口を提示していかなくてはならない
大きな問いなんです
この喫茶店の名前は敢えて伏せますが、僕に会いたくなったらここに来てください。
すれば奥の窓際の席に物思いにふけっている僕がいます
ゆっくり時間をかけて語り合いましょう